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太田

メキシコに大繁盛ラーメン店をつくった!(後編)

更新日:2020年3月8日

●記者Saquita

 ホセさんから見たメキシコ人とは全般的にどのような人たちですか。


〇ホセ

 日本人は生活のために仕事をするイメージだが、メキシコ人は楽しいLifeを送るために仕事をする。オフが基本続いているイメージ(笑)。

 メキシコ人の自己判断は非常に多いが、責任を伴わないので、プロ意識がないとも感じますし、そもそもビジネス慣習が違うと思います。

 メキシコの賃金は月額400ドル(約4万円)程度で、隔週払いが一般的で、貯金の概念がないのかなと思います。

 時間軸がないのかなと思うくらい時間にルーズ、良い意味で時間的に余裕がある。

メキシコ人はフレンドリーですが、働いているスタッフ同士ではフレンドとは思っていないように見受けられます。心理的に仕事を奪われると思うのだと思います。


●記者Saquita

 ホセさんはメキシコ人スタッフに対してどのような人材育成を行っていますか。


〇ホセ

 スタッフが働きやすい環境づくりが重要なので、色々なことをしています。

一つは、他店に比べて比較的高い給料制度です。彼らの賃金は、月額400ドルベースですが、チップ制度があるので、チップを入れると月額600ドル~800ドルになり、他店の1.5倍程度になります。

 二つ目は、メキシコの店では日本のサービス(クオリティ)を実施するために、日本の哲学を教えています。彼らは日本の店で働くくらいなので元々日本に興味がある人が多く、彼らが合わせてくるイメージです。先ほどの回答でも出ましたが、メキシコ人の気質はフレンドリーですが、働いているスタッフ同士ではフレンドとは思っていないように見受けられます。独裁や支配などの歴史から心理的に仕事を奪われると思うのだと思います。なので、私はそのような心配をしないでも良いように伝えますし、チームワークを高めるために定期的に食事会を開催しています。

 三つ目は、本物の日本を感じてもらえる研修制度を導入しました。

この店で働きたいと思われるようにMexiponのブランディングに注力しているので、ラーメン店で働きたい、繁盛しているのでチップも多くもらえると、だから働きたいというような良い連鎖ができていると思います(笑)。

他には、管理職であるマネージャーには、店を管理しないといけないので厳しく接しています。

 自分たちの生活のためだぞと(笑)。マネージャー補佐にはマネージャーを補佐してねと。


●記者Saquita

 メキシコ店について教えてください。


〇ホセ

 メキシコ人にはラーメンと日本的なサービス(クオリティ)が珍しいため受けていると思います。50席に対して300人/日のお客さんが来店しています。

 バハ・カリフォルニア州に属するエンセナーダにあり、日本人駐在員が集まるメキシコシティではないので、照準を日本人にした場合は立地条件が良くありません。ですが、メキシコ店は照準をメキシコ人にしていますので、立地条件としては普通だと思います。この場所を選んだのは駐車場があること。メキシコ人は法律では禁じられているが、飲酒後に車で帰るので、車で食べに来れる店が良いと思ったからです。


              ★ラーメンをすするメキシコ人客 


               ★メキシコ店のラーメン



  

●記者Saquita

 メキシコでの失敗について教えてください。


〇ホセ

 記憶に鮮明に残るのはメキシコ人の大工とのトラブルと日本人弁護士とのトラブルです。

メキシコ人の大工とのトラブルは、開店準備の頃の話なので、メキシコに来たばかりのことです。

 ある程度良い仕事をしてもらったので、また仕事を振ったら、結果的にお金を渡したのに逃げられたことです。頭にきましたし、日本人的に成敗したいという感覚もありました。居場所を知っていたので、交渉のために乗り込み、相手に圧力をかけました。結果的に和解できましたが、僅か数万円で殺人を犯す国なので、今思うと殺される可能性もありました。

 日本人弁護士とのトラブルは、ビザ取得の行政手続きを自分で調べて行うと時間と金がかかるので、弁護士に丸投げしました。結果、弁護士報酬は支払ったのに、ビザは取得できませんでした。事務所に連絡しても取り次いでもらえなくなりました。

 依頼当初、弁護士先生が若いのに大したものだと応援の意味も含めて、通常より低い価格で請け負ってくれたのだと思います。

 物事には適正価格があること、業務は例え相手が日本人であっても丸投げではなく、契約書は内容をしっかりと取り決めて作成する必要があることを学ぶ良い機会になりました。

 私は、日本の店もメキシコの店も失敗と成功のループで、成功するまでに沢山の失敗をしてきました。経営に関してアドバイスを受けた経験も、大学などで学んだこともなく、また会社勤めの経験もありません。失敗と成功を含めて、自身の実体験から学んできたことです。失敗するたびに、時間やお金を無駄に費やしてきたが、今では財産となっているので、振り替えると決して無駄なことはなかったと思います。私は失敗してもダメージを受けないというメンタル面の強さもあります(笑)。


●記者Saquita

 最後に、この場を使って、ホセさんの店のメキシコ人スタッフに対して一言いかがでしょうか(笑)。


〇ホセ

 正直、メキシコ人スタッフとビジネスをするのは大変というネガティブなイメージが強かったです。ですが実際に共に働いてみて、彼らは凄く優秀です。

 少し話が反れますが、日本人駐在員や出張者にはメキシコ人の悪口を言う方々も多いです。しかし、僕は自信を持って言いたいです。彼らが悪いのではなくて、彼らの働きやすい環境を作れず、スタッフと歩み寄れなかった経営者の力不足だと言いたいです。当たり前の事ですが人材成長こそ、企業成長のベースだと思います。メキシコは国政が変わらないと、メキシコ人に未来はないと言われています。私は頑張っても救われない国ではなく、頑張る人がもっと活躍できる場を提供したいと思います。


  ★前列右は、ホセさんに替わり、日本の店からメキシコ店の店長となったみー君。

ホセさん曰く、彼は今が試練の時とのこと。厳しくも暖かく見守っているとのこと。  



●記者Saquita

 本日は、お忙しいところ取材協力ありがとうございました。


追記・・

店名:Mexipon(メキシポン)

場所:愛知県豊橋市花田一番町189号




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